先だって、平安時代に創建された高知県西部のお寺に調査に伺いました。
ご住職に案内されて車から降りると、左手に広々と太平洋が広がり、右手に慎ましいお堂がたっていました。
「この仏さんらは修理する価値はあるやろか?」
お堂には何体もお像が安置されていました。
江戸期くらいの破損仏。割り矧ぎの菩薩像や割り膝の天部像など、古い技法を使って作られたお像群でした。
現住職は、その町に住まれて20年。
痛々しいお姿をどうにかしたいと思いつつ、20年が経ってしまわれたと。
そこには、
・過疎・高齢化に伴う檀家さんの減少(修理費用が賄えない)
・誰に相談したら良いか分からない
・修理する価値があるか判断できない
…といったご事情がありました。
高知に来てから、このお寺さんのように、お寺やお像の維持管理が難しくなっている現状をあちこちで伺ったり、目の当たりにしています。
あるお寺では、木片とお像の部材の区別がつかずまとめてお焚き上げしてしまったり、あるお寺では「直すのはお金がかかるから、海外製の安い仏像を買えば良いのでは」とおっしゃっていました。直せても将来管理できるか不安といった声も聞きます。
それも時代の流れかもしれませんが、このままでは近い将来多くのお像が失われてしまうでしょう。
昔から地域で守られて来たお像は、その土地の記憶が刻まれた貴重な文化的資料でもあり、先祖代々の信仰と歴史を物語る存在です。
礼拝の対象のみならず、地域を保全する一つの求心力ともなり得ると私たちは考えております。
全国的に見ると、文化財の指定・未指定関わらず、消えゆくお像を守る動きも出て来ていますが、私たちが縁あって伺った四国エリアではまだまだです。
この危機的事態を少しでも食い止めることができないだろうか?
次世代に良い形でバトンを渡す手段はないだろうか?
私たちにできることは何だろうか?
常々考えさせられて参りました。
そこで、新しい業務を試行してみることにしました。
現地にお伺いし、4~6時間程の作業時間で対処可能な範囲で処置させていただくというものです。
破損した仏像・神像の損傷状態チェック・簡易処置
内容 | 損傷状態のチェック・アセスメント、簡易クリーニング、部材の接合等 |
費用 | 20,000円(税抜)+往復交通費実費 |
対象 | 仏像・神像、それに準じるお像(寺社仏閣・個人蔵問わず)。時間内で対処できる範囲でしたら何体でも。 |
対応エリア | 四国圏内 (それ以外のエリアの方はご相談ください。) |
申込・お問い合わせは【こちら】をクリックし、以下の項目をご入力の上送信してください。
・ご依頼主のお名前、ご所属(寺院名等)
・ご連絡のつくお電話番号
・お伺い先の住所
・お像の情報(尊名、大きさ、状態等を簡単に)
・ご希望のお伺い日時(第1〜3希望まで)
出張等ですぐにお返事できない場合もありますが、基本的に24時間以内に弊所よりご連絡いたします。
破損・風化を放置すると、それだけ修理も難しくなって行きます。
この簡易ケアで万全な修理ができるというわけではありませんが、少なくともカビや虫食いの予防になったり、部材の亡失を防ぐことができます。
本格的な修復ができる条件が整うまでの「応急処置」とお考えいただいても結構です。
適切な修復を施したことにより、お像が重要文化財に指定された例もありますので、気にかかっているお像がございましたら一度ご相談ください。
※2018年の1年間の試行とさせていただきます。
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