カテゴリー: コラム
現代造佛所私記 No.258「名画の中を歩く」
朝、娘と並んでバス停までの道を歩いた。 ここ数日で、山の色づきが一気に進んだように思う。娘は、手編みの赤いマフラーを巻いて、私のポケットに手を突っ込んで歩く。 4年前、彼女がまだ幼稚園生だった頃に、100円ショップで自分...
現代造佛所私記 No.257「外郎売リターンズ」
大学時代、私は学生劇団に所属していた。毎日のように発声と滑舌の練習を重ねた日々だった。 稽古の基礎中の基礎として、私たちは歌舞伎の「外郎売」を繰り返し稽古していた。稽古の前には必ず、各々が一通りなぞる。ときには自分なりの...
現代造佛所私記 No.256「続いていく物語」
生涯大学での「仏像と人の物語」は、今日で6組目を数えた。 クラスが変わると人が変わる。当たり前のことだけど、教室の空気は毎回違う。それぞれにはっきりと個性がある。一方で、同じところで笑いが起こり、似たような場面で目頭を押...
現代造佛所私記 No.255「段取りという旅」
多くの時間を、これから迎えるいくつかの「本番」に向けた段取りに費やした一日だった。 開眼法要、雅楽演奏会のMC、現地での応急処置、それから娘の研究発表。それぞれに、まだ見ぬ人たち、まだ知らない場所が待っている。 やがて訪...
現代造佛所私記 No.254「チャパン、チャプ」
チャパン、チャプ、チャパン、チャプ ゆっくり湯船に浸かり、首元に湯をかけていた。その湯面が立てる音のリズムが、少し意識の深いところに響き始めた。 不意に、幼い日の記憶が立ち上った。 六つくらいの頃、私はよく、今は亡き祖母...
現代造佛所私記 No.253「ベビーステップ」
今日は少し、内省的すぎるかもしれない。けれども、書いてみることにした。 普段なら、なんでもなくやり過ごせる。けれども、ときどき、同じことがヒリヒリと敏感に触れてくることがある。 ここ数日は、まさにそんな時期だった。ちょっ...
現代造佛所私記 No.252「未来へのランウェイ」
「5、4、3、2、1——」 子どもたちの声が体育館に弾けた。幾重にも重なる声が力強い。「ゼロ!」の瞬間、音楽が流れ出した。 二人一組になった小さなモデルたちが、順番にランウェイを歩き始める。私はカメラを構えながら、息を呑...











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