理念

時代を超えて、受け継がれていくように

古典への回帰、そしてはじまり

仏教伝来から約1500年、連綿と受け継がれて来た日本の仏教彫刻。
近年は仏像ブームもあって、外国製の安価な像や作家性の高い個性的なもの、緻密な仏像フィギュア等、素材も作風もバリエーションに富むようになってきました。

このように多種多様な仏像がある中で、これから500〜1000年先まで残されていくお像とはどのようなものでしょうか。

それは、実際に何百年もの間守り伝えられて来た平安〜鎌倉様式の仏像にヒントが有ると考えます。これらの古仏は、その普遍的な美はもちろん、受け継がれてきた歳月を語る変化も含めて人の心を深く打つのでしょう。そこには、作り手である仏師の志や情熱、願いも宿っているはずです。

弊所では吉田仏師の指揮の下、長年の仏像修理で得た知識と技術を消化・吸収し、平安・鎌倉様式に独自の解釈を加え、現代の感覚に適合し、かつ信仰の対象としてふさわしい御姿を模索しながら日々制作に取り組んでいます。

皆様の願い、祈り、御志を手に宿すにふさわしい器となれますよう、日々精進いたします。願わくば彫刻刀を執るこの手に御仏の導きあらんことを。

仏教美術の伝達者として

多くの伝統的な素材や技は今や危機的状況にありますが、古来の技や知恵には合理的で人や環境への負担が少ないこと、未来の仏像修理者とも素材や技法の共有がしやすいといった良い点がたくさんあります。

その伝達者としての自覚をもち、最適な素材を用いて、日本で独自に開発・発展した古典技法で、一刀一刀手仕事で造像いたします。

常に新しい技術や素材も日々研究し、施主様のご予算に見合った最適な方法をご提案・選択しながら、柔軟に修理、製作にあたってまいります。