雨夜にお香を聞きながら

今夜はお香に火をつけ、心地よい雨音を背景に香りを聞いています。

OKO CROSSINGのお香定期便<OKOLIFE>第一弾、「願糸」というお線香です。

お香セットに意外なプレゼントが入っていました!

それは、七夕の短冊です。

自分の願いを書くことなんて、もう何十年となかったかもしれません(娘の短冊には「シャンプーが一人でできるようになりますように」と代筆しましたが)。

雨音と雅な香りに誘われて、墨を硯で磨って筆をとりました。

この1本のお線香で二間向こうまで香りが。すばらしい持続性と拡散力

リーフレットにはお香の歴史はじめ、いくつかの読み物がコンパクトに綴られていました。香りとともに一気読み。

ここ数年じっくり読書する時間がなかなかとれませんが、特別なお香を焚いた30分は、子供の頃のような集中力が顔をだしてくれたような気がします。

雑念がさーっと退散してくれたのは、お香の清めの作用なのかもしれませんね。

読み物にもありましたが、お香と仏教は一緒に日本にやってきました。

伝来した当時、仏像が驚きを持って受け入れられたであろう場面には、このような雅な香りもきっとあったことでしょう。

「願糸」というネーミングも想像をかきたてられます。

お線香から昇る一筋の煙が願いを縒った糸に見え、「天に届けてくれるんじゃないか」そんな気持ちにさせてくれました。

欲張って両面に願いごとを書いてしまいました。左義長さんでもらった短冊と一緒に。

来月の香りを心待ちにしつつ、祈りにぴったりな「願糸」を堪能したいと思います。

あ、背後から夫の龍笛が聴こえてきました。
香り、雨音、笛の音。

いい夜です。

INFORMATION

OKO CROSSINGのもう一つのプロジェクト<OKOPEOPLE>にて、造佛所私記「ほりごこち− 星の数ほどの物語 −」の連載が始まりました。1回目は「木の香り、木の声、仏のうた」。御神木が仏像に生まれ変わる様子が描かれています。

仏像が日本にやってきてから1500年の間、御像の数だけあったであろう幾多のエピソード。仏像を造ったり修復したりする造佛所で、語り継がれなかった無数の話。こぼれ落ちたそんな物語恋しい造佛所の女将がつづる、香りを軸にした現代造佛所私記。

OKOPEOPLE お香の物語編集室

木が泣きゆう。
願主の男性がポツリと言った。
ジリジリと照りつける太陽の下、輪切りにされた木の断面から堰を切ったように水が流れ出ている。

私たちはただただその様子を見守っていた。

目の醒めるような樟脳(しょうのう)の香り、舞い散る木くず。
周りののどかな風景は写真のように動かない。

時が流れているのは、木と私たちの周りだけに思えた。

「私たち」というのは仏師である夫と、主に事務仕事を担当する私のことで、二人で立ち上げた「よしだ造佛所」のことである。

話は1年前にさかのぼる……

つづきはぜひ、<OKOPEOPLE>の「ほりごこち」にてお楽しみください!