「モネの庭」にて(高知県・北川村)
“よしだ造佛所の女将”こと、吉田沙織と申します。
現在、造佛所の運営、事務一般、修理業務を担当しています。
今月は「まずは3年」と所長と手探りで進めてきた区切りの6月。
改めてお礼申し上げます。
さて、3年目となり「女将」と呼ばれるのにも慣れてきましたが、お伺い先で経歴を聞かれることも増えてまいりましたので、改めて自己紹介をさせていただきます。
高知県で生まれ育ち、大学時代は大阪、昨年Uターンするまでは東京に長く住んでおりました。
母校・大阪大学では、特に公衆衛生学に興味を持ち、保健学科看護学専攻の早川研究室で過ごしました。
サークルは多彩な学部生・院生で構成された学生劇団で、舞台美術と宣伝美術を担当。
学業に熱心とはいえない学生時代でしたが、この4年間に出会った「学問」の手触りは今でも忘れることはありません。
卒業後は、看護師・保健師の資格をとり、6年間医療機関に勤めました。
そんなある日。
ひょんなことから某作家に声をかけられ、秘書として東京へ行くことに。
作家秘書として、文献調査・編集はもとより、事務全般からオフィスマネージメント、イベントの企画運営、書店への営業、そして個人専属看護師として10年、東京を拠点に国内外で働きました(ゼイゼイ…)。
その後、クリニック(港区・六本木)の医療相談室に勤務。
会員制検診サービス部門で、専門資格を持つ医療コンシェルジュとして配属され、健康相談・病院紹介・受診のコーディネートなど、秘書と看護師両方の経験を活かした業務に就きました。
その頃、高校時代からブランクのあった弓道を再開。弓道場で夫となる吉田仏師と出会います。
学生時代から法隆寺宮大工・西岡常一氏を私淑していたので、吉田氏が仏師と聞いて「ヤリガンナ」「和釘」等の話題で大変盛り上がりました。
今思うと、仏像ではなく道具で盛り上がったのが<らしい>ですが、何にせよ、これがきっかけで家族となりました。
そして、妊娠・出産を機にクリニックを退職。
よしだ造佛所のスタッフとして、畑違いの「仏像制作・修理」の世界に入りました。
未知の世界ではありましたが、
・公衆衛生学的な志向
・身体に染み付いた医療技術
・看取りの場で実感した仏像の存在意義
・仏教関連の書籍出版に携わったこと
・秘書業務と事務全般
・舞台美術・宣伝美術の経験
といった、これまで辿った道の全てに支えられているのを感じます。
経験不足を痛感する場面も多々ありますが、神仏像の制作および治療と健康維持が、豊かな社会を構成する要素であるという確信を以って、初心とキャリアを総動員し業務に臨む日々です。
仏像制作・修理を通じて、全ての人がより豊かな人生を送れるように、地域がより良い形で保全されるように、お手伝いができたらと願っています。
【職人気質の吉田仏師 × 自然科学畑出身の女将】
そんな凸凹コンビで営む小さな造佛所。
高知に根をはり地道に研鑽を深めてまいります。
お会いした時には、どうぞお気軽に「女将」とお呼びください(^O^)
今後ともよろしくお願い申し上げます
吉田沙織
所属学会:
文化財保存修復学会