11月3〜5日、高知市で開催されます「安成展ー慈しみ宿す木々ー」。
本展覧会は、手のひらに納まる小さなお像や仏手、光背から、実際にお寺に安置されている色彩豊かなお像まで、様々な作品で構成されています。
そのすべてに共通するもの、それは「木」という素材です。
日本の仏像は、古くから木を材料にしてきました。
その伝統にのっとり、特に疑いなく木を削ってきた私ですが、高知に来て、古来の人がなぜ木から仏像・神像を作るようになったかがわかるような気がしてきました。
都会で制作していた頃は、ほとんど材木店で仕入れていましたが、高知の端っこの町に拠点を移してからは、原木の伐採、製材、競りまで足を運ぶ機会に恵まれるようになりました。
すると、いざ彫刻刀を向けたとき、手元の木片の向こうに、木の育った山、そのそばを流れる川、生き物、人の営みの世界が広がるようになったのです。
それは、宇宙の姿そのものであり、大日如来であり、仏の姿と言えます。
自然がもっと身近にあった昔は、仏師も、お像に手を合わせる人々も、そのような木の神聖を肌で感じていたのではないでしょうか。
本展覧会では、神仏の慈しみを宿す日本の木々の、様々な形・色・香りを是非お楽しみください。そのひとときが、皆様のより良い人生の一端となれば幸いです。
会場にてお待ちしております。
仏師 吉田安成
よしだ造佛所一同