現代造佛所私記No.93「歩き続ける」

インターン生Mariekeを見送って2日。経った2日前なのに、もう数ヶ月経ったような感覚だ。でも、にぎやかだった五月の空気は、部屋の隅に名残をとどめていて、この一週間を振り返る今宵は、やけに家の中が静かに感じる。

毎日、多くの対話を重ね、刺激を受けたインターン受け入れ期間は、写真も書くことも溢れて、字数を削るのが難しかった。

このコラムを書こうと思った当初は、520字でサクッと読めるものにしようと決めたのに、時には3倍ほどまで字数が膨れ上がる。

それでも、読んでくださる人がある。なんと有難いことだろう。

3週間ほどMariekeが世話になった宿泊所の職員さんから、インターンシップ受け入れについて労いのお言葉をいただいた。「Mariekeロスなんじゃないですか?」と、その方は笑っていらした。

言葉は通じなくても、Mariekeの人柄は伝わっていたようで、Mariekeの話が出ると皆ニコニコと優しい顔になる。

吉田は、遠い親戚の子が来たみたいだったなぁと、つぶやいた。つまりは、本当に家族親族みたいな距離で馴染んでいたんだろう。

8年目が、濃密で印象的な一日で締め括られ、音もなくぽんと9年目の扉が開いた。

まっさらな気持ちで、また歩き出す。臆せずに、また進んでみようと思う。

一番読まれていたのは、現代造佛所私記No.90「インターン(17)」