玄関先の野薔薇が満開となったこの一週間。振り返ると、当工房の新章がはじまったと思えるような日々だった。
- No.72「小旅行」 体はPCの前で多くの時間を過ごしたが、心は自由に旅をしたような一週間のまとめ。
- No.73「インターン」 2月に突然届いた一通のメールから始まったインターンシップの受け入れ。ついに対面。
- No.74「インターン(2)」 インターン生、来高翌日早々に寺の法要参列という巡り合わせ。
- No.75「インターン(3)」 同じ屋根の下で、同じ釜の飯を食べるインターン生。家族が増えるような感覚を綴った。
- No.76「インターン(4)」 インターン生を伴って神社の月詣りと奉納演奏へ。感謝のひととき。
- No.77「インターン(5)」 食事は互いのことを知る絶好の時間。
- No.78「インターン(6)」 異なる宗教・文化的背景をもつ相互の交流が、自らの輪郭を浮き彫りにする。
5月13日、ドイツ南西部からやってきたインターン生Marieke。我が家の野薔薇も、彼女の来訪を祝していた。
彼女との毎日が始まり、その存在は確実に、私たちの暮らしに新しい風を吹き込んでいると感じる。彼女の素朴な疑問、開かれた心、異文化への敬意、それらをひとつずつ受けとめ、記録し、綴ってきたが、この出会いが私たちの人生に計り知れない影響を与えている気がする。
「影響」という言葉は、日頃からよく使うが、その深い意味を噛み締めている。
Mariekeとの出会いで私たちが受けている刺激は、まさに「影響」=何かの物事、人、出来事などから刺激を受け、その結果として自分自身の状態や考え方、行動などが変化すること。これに他ならない。
母としての私、PRプロデューサーとしての私、仏師の妻、工房経営者としての私。そのすべてをいつもの机の上で同時に展開する、それはただでさえ複雑、そして豊かな毎日だが、そのレイヤーにさらに新しい層を加えてくれた。
この一週間で何度も、「伝わるとはどういうことだろう」と問うてきた。文化や信仰、生活の違いを前にして、それと全く異なるレイヤーで互いに通じ合うものがある。互いに英語を介して交流しているが、目の奥の眼差しと私の中の思いそのものが、直接通い合うことが多々あった。
インターン生活はまだ続く。けれど、この「はじまりの7日間」には特別なものがあった。新しい誰かを迎え入れ共にあることで、日々の暮らしの輪郭が際立った。その再発見こそ、大きな贈りものだと感じている。
誰かのまなざしを通じて、自分たちの生きている場所を、少し遠くから見つめなおすような、そんな7日間だった。