現代造佛所私記No.70「今日はうどん」

「今日のコラム、何にしようかな〜」

助手席でぽつりと呟いたら、夫がハンドルを切りながら笑った。

「なんか、今日の晩ごはん何にしようかな〜って言ってるみたいだね」

確かに、そんな感じだったかもしれない。「書くこと」がいつのまにか日常に溶け込んで、朝ごはんや夕飯の献立と同じように、その日その日に合わせて、「何を書こうかな」と考えている。

大まかにテーマを設定しているが、土曜日は「書かずにいられなかったこと」。つまり、フリーテーマなのだ。

「あ!今日でちょうど70日目だ」

ふと思い出してそう言うと、後部座席から娘が「おめでとう!」と明るい声。
続けて、運転していた夫も「おめでとう」と。

1000日コラム執筆チャレンジを始めなければ、なんでもない日常として終えていたであろう今日という日が、お祝いの日になった。

この1000日チャレンジコラムこと「造佛所私記」は、一人では続けられない。一緒に1000日に向かう仲間と、家族の支え、そして読んでくださる皆様がいるからこその70日だ。

うんうんとパソコンの前で絞り出していた最初の20日ぐらいを思い返すと、まさに今は毎日の食事をつくるみたいな感覚に変化している。

前夜から朝に、執筆の下拵えしを軽くして、夜にそれを調理してブログというお皿に盛り付ける。美味しく栄養になるものがかけていると良いなと思う。

「じゃあ、今日は何読みたい?」夫に聞いてみた。

「うーん、なんでもいいや。」

「それは一番困るやつだね。」

「あ、うどん!うどんがいい。白くて、もちもちしてるやつ」

夫がまた笑った。

ならば、今日のコラムは、そんなうどんみたいな文章にしよう。派手ではないけれど、消化によくて、体がほっとあたたまるような。

すする音さえ、どこか優しく響くような、そんな言葉の一杯を。