現代造佛所私記 No.581「仏師という言葉をいつ知った?(前編)」

夫は月に一度弓道の試合に出場している。その度に、入賞してタオルや洗剤を戦利品として持ち帰ってくれている。私も娘も知らない、夫だけの世界である。

今回、たまたま一緒にチームを組むことになった方に、職業を訊ねられたそうだ。

「仏師」という言葉に、あなたはいつ出会っただろうか?

夫は、その弓道家に「仏師といえば、ガラスの仮面ですね」と言われたと言う。

夫は、「漫画で仏師といえば手塚治虫の火の鳥ですかね」と返したらしい。

私も漫画で「仏師」と言う言葉を知ったクチなので、夫の話に身を乗り出してしまった。

「そうそう、ガラスの仮面ね!火の鳥ももちろんだけど、私にとって初めて仏師という言葉に出会ったのは、紅天女で——」

だが、夫は知らなかった。

「ガラスの仮面」とは、小学生の頃、美容室で出会った。美内すずえさんの連載中(休載中?)の少女漫画だ。

それはもう夢中になって読み漁った。演劇の天才少女・北島マヤが、往年の女優月影千草に見出され、さまざまなライバルや恋愛、家族関係を通じて成長しながら、女優として開花していく。

トラブル多発の劇中劇や、オーディションシーンが大好物だった。

演劇バトルが面白すぎて、影響を受けてしまい、高校で学生劇団に入ってしまったくらいだ。大学生協で、愛蔵版コミックスを揃えて劇団員に啓蒙したこともあった。(続く)