現代造佛所私記 No.578「工房からメールの返信がないという方へ(前編)」

九月上旬に、仏像製作のお問い合わせをくださいました御方へ。

HPのフォームからご連絡いただきありがとうございました。何度か返信していますが、どうも届いていないようです。

今のところ、メールしか連絡手段がなく、ご相談にお答えしたいのですが他にご連絡の術がありません。

もしこのコラムをご覧になりましたら、迷惑メールフォルダに当工房からのメールが振り分けられていないか、ご確認いただけましたら幸いです。

メールが見当たらないようでしたら、お電話番号をお知らせいただけましたら、こちらからご連絡差し上げます。

どうぞよろしくお願いいたします。

仏像のご相談をいただけることは、幸せなことである。

当工房は、諸事情により住所と電話番号を非公開にしている。それでも、わざわざ私たちに接触してくださることを、本当にありがたく思っている。

山奥で、細々と造仏に励む小さな小さな工房を信頼し、時間とお金を預け、完成を忍耐強く待ってくださる願主の皆様。

そのお心には、いつも感動と尊敬の念が尽きない。

精一杯、尽くしたいと思う。

今日は、完成した一軀の仏像の仕様書や、作品の解説をまとめていた。

吉田仏師は、仏像を作ること、治すことに専念している。その周辺の文書類は、仏師に確認しながら、私がまとめる。

それを通じて、私も多くを学ばせてもらってきた。

パソコンに向かいながらふと思い出す。夫に出会う何年も前のことだ。

二十代から三十代の、今よりずっと若くて時間があった頃、「ジャータカ」を読んで、感動して一人泣いていた。

ジャータカとは、お釈迦様の過去世を描いた説話集である。

お釈迦様の誓願に胸を震わせ、小さくぎっしり詰まった字を追いながら、本を濡らしていた。

ジャータカは分厚くて大きくて、たくさんあって、当時の私にはとても所有できない本だった。図書館で同じ本を何回か借りては読んでいた。

(続く)