現代造佛所私記 No.567「ハチドリとキツツキ(後編)」

会計を済ませる夫の左脇から「すみません、着けて帰りますね」と店員さんに声をかけ、手を伸ばした。

さっそく胸元につけてみると、不意に頭に懐かしいフレーズが響いた。

(ポッシャリ、ポッシャリ、ツイツイ、トン)

「あぁ、そうか」と、バードブローチを身につけてみて、ようやくわかった。

大好きな『十力の金剛石』、宮澤賢治の世界を思い出させてくれる鳥なのだ。物語の中では、帽子の飾りとして蜂雀(ハチドリ)が二羽登場する。

この日、私のところへ来てくれたのは、ハチドリとキツツキ。二羽の組み合わせは違うけれど、それがとても特別に思えて、かえって嬉しかった。

どちらも、それぞれに幸運を運ぶ鳥と言われているそうだ。

ブローチについていたタグを読み、フェアトレードという仕組みを思い、考えた。遠い異国に残る社会課題に、ほんの、ほんの少しだけでも貢献できただろうか……

そう思って、すぐに首を振った。

こんなに可愛い鳥たちを、誕生日の贈り物としていただいたのだ。それを「貢献した」などと言うのは、あまりにも烏滸がましい。

私は、祝福をいただいた側なのだ。人の手から生まれたものが、長い道のりを越えて、私の胸元にやってきてくれた。

三界安きこと無しで、自分の業の深さを思い知らされることもある。それでも、業の身の上を、とにかく生きる。

そうして生きたことが、巡り巡って、いつか何かの回向とならんことを。

その願いの証として、この鳥たちをいただいた気がした。