「ちょっと嬉しい」
はにかみながら、娘が少し首を傾げた。担任の先生から夕方にお電話をいただいて、夏休みの自由研究が市の審査で会長賞(高学年の部最優秀賞)に選ばれたという。
本人は、研究をして、ポスターを書くことは楽しいが、発表で緊張するのが好きじゃないという。嬉しいけど、その後に続く県の発表会のことを考えると、手放しで喜べないらしい。
先生は、せっかくだし、良い経験になると思うので…と発表を進めてくださった。私たち親は、娘に無理はさせたくないが、人前にたつ訓練はチャンスがあればぜひ挑戦してほしいという気持ちもある。
「ものでも釣られないよ」
と娘に釘を刺された。祖父母からよく頑張った時や、挑戦の時にプレゼントの打診があり、過去にそれを餌に取り組んだことが何度かあった。娘ももう10歳。今回に限ってはその手には乗らない、と先手を打ってきた。
今回は、発表まではやらないよ、という意思表示をはっきりした娘だが、私は思い出していた。
二学期の始まりに、「私は創造性を大切にしたい」という羅針盤を見つけたことを。
「そうか、やりたくないんだね」
「うん」
私は、背中を押すでもなく、一言だけ。
「発表のことは一旦忘れよう」
といった。
その後、他愛のない話を夕食前に10分くらいしただろうか。突然、娘が真っ直ぐ私の目を見て言った。
「やっぱり、発表する。頑張ってみる」
市の展示会から、県の発表会へ。
娘の目が、燃えているように見えた。


