現代造佛所私記 No.554「地紋彫り(5)」

そういえば、二学期の始めに学校から、こんな宿題が出た。

「二学期で頑張りたいことを作文帳に書く」

どうやって考えればいいのかなあ?早起きを頑張る?給食を残さず食べる?とブツブツ言いながら、ノートの前で口を結んでいる。娘の傍らで片付けをしたり、猫に餌をやったりしながら、「普段、自分の中で大切にしたいことって何?」と訊ねてみた。

家族。

健康。

楽しさ。

心の安定。

思いつくものを挙げながら、二人でしばらく話した。

そこから時間をかけて絞っていく。そのとき、娘がひときわ強く反応した言葉があった。

「創造性」

それまでにも、きっとなんとなく感じていたのだろう。

けれど、「創造性」という言葉を掘り当ててから、娘の様子が少し変わった。

モノをつくること。

漫画を描くこと。

我流で続けているピアノ。

そういうものに向かう集中力が、以前より増したような気がする。

「宿題だからやってみる」から、「自分の創造性を表すためにやってみる」へ。

私自身も、自分の大事にしたい価値観がわかった時、目的に向かう力が湧いてくる経験が確かにあった。もし、この小さな人にそれが起こったのだとしたら、大きい人として嬉しい。

夏休みの地紋彫りから始まって、二学期の作文で見つけた「創造性」という言葉。

宿題が、思いがけず娘を次の場所へ連れていってくれた。

そうか、次の場所に来たから、夏が遠くに思えるのか。

机に張り付いて、今度はオリジナルの折り紙作品を作っている10歳背中を見ながら、そんなことをぼんやりと考えた。