小学校の二学期が始まったばかりだというのに、夏休みが遠い遠い昔のことのように思える。
娘がこの夏チャレンジしたことはいくつもあったが、その一つが「地紋彫り」だった。
一日に十五分、二十分と、コツコツ続けて、なんとか六面の地紋彫りを完成させた。課題はいろいろあるけれど、とにかく自分の手で最後までやり切った。そのことが、何よりの精華である。
最後に、ヒノキの四角い板に黒い塗料を塗って乾かし、地紋彫りをしっかり膠で貼り付けた。ちなみに、この膠は、自由研究で作った手作りの鹿角膠である。四種類作ったうち、最も強度の高いものを使った。
「できた!」
地紋彫りに黒いフレームがつくと、突如として「作品然」とした。娘はどんな顔をするだろうと見ていたら、あっさりしたものである。
出来栄えにはさほど頓着せず、もう次の興味へと気持ちが移っている。
学校に提出してしまったので、今は手元にない。戻ってきたら、娘が四歳の頃に描いた書画のそばに飾ろうと思っている。
娘の関心は今、一度手放した「漫画を描くこと」に、再び戻っている。地紋彫りにあれほど力を尽くしたことも、夏と一緒に過ぎてしまったかのようだ。布団に入ってスタンドの光の中、ノートにコマ割りをし、週末の朝も早起きして漫画をカリカリ描いている。
そんな娘を見ていて、思い当たることがあった。

