今回、北川先生のお話を伺いながら、私たちの紆余曲折も、かけがえのない財産なのだと、温かな言葉をかけていただいたような気がした。
そして、もう一つ。
「敵は常識なんです。」
こちらも北川先生のお言葉である。
当工房の場合、事業として見れば、いわば「常識的に考えれば無理」と思われるような環境とリソースの中でやっていくしかなかった。
だからこそ、その制約の中からアイデアをひねり出し、薄い紙を一枚ずつ重ねていくように、小さな工夫を積み重ねてきた。
「そんなことやってる場合か」と、常識的な人なら言うだろうなと思いながら、お茶や雅楽、弓道の稽古をせずにはいられない自分たちを、少し離れたところから眺めることもあった。
でも、そこから思っても見ないような、多くの得難いご縁が広がった。
そして、気がつけば、工房も十年目を迎えることができた。
コロナ禍をきっかけに工房の柱の一つとなったPRも、考えてみれば同じである。
「こういうものだ」と決められた枠の外側にあるものを拾い上げ、まだ当たり前になっていないことを、少しずつ当たり前にしていく。
それはまさにPRの営為でもある。
それは、社会の「こうであるべき」を、より良い方向へ書き換えていく仕事でもあるのだと思う。
御仏の教えを北極星として。
目の前の常識にとらわれすぎず、けれど奇をてらうこともなく、柔軟に。
結果を急がず、一つひとつ積み重ねていこうと改めて思う。
そんなふうに、これからの道を進んでいく勇気をいただいた。


