現代造佛所私記 No.546「ノーベル賞とチョコ(2)」

北川進先生のご講演「分子でつくるナノサイズ部屋〜ノーベル賞研究に至る道のり」も、一言も聞き逃したくないと思うほど、触発される内容だった。一部、こちらでも共有させていただきたい。

風景画を描いていた幼少期のこと。優秀な同級生から受けた刺激。小説に熱中していた少年時代。そして、多種多様な組織で仕事をしてこられた中でのご実感。

研究そのものだけでなく、そうしたお話の一つひとつから、北川先生という方の在り方が、少しずつ浮かび上がってくるようで、夢中になって拝聴した。

「一つの組織にずっといたら、視野、人の見方も狭くなるんです。私は、いろんな組織を移ってきました。覚えておいてほしい。自分を信じて、いろんな所へ行ってください

これは、どの分野にも通じることだと思う。

吉田仏師は、仏像彫刻一筋ではあるけれど、これまでいくつかの工房や会社で経験を重ね、プロジェクトチームの一員として活動したこともある。

そのたびに、それまで知らなかった世界に触れ、大いに刺激を受け、視野を広げてもらってきた。

それは、私自身も同じである。

工房を立ち上げてからも、さまざまなお寺や御堂を訪ね、地域ごとの暮らしに触れ、その中で人と出会ってきた。

雅楽も、PRも、その延長線上にある。

「一体何がメインなの」「訳がわからん」と言われたこともある。確かに、外から見れば一貫性がないように見えるのかもしれない。

でも、そうじゃないよと、北川先生に言っていただいた気がした。