現代造佛所私記 No.537「施主様からのお便り」

3年前に、大日如来三尊をお納めした施主様から、前触れなくお便りを受け取った。

掲載許可を頂いたので、こちらでもご紹介したい。

丁寧な肉筆を、繰り返し読み返した。

お納めしてからも、何度かやりとりをさせていただいていたけれど、こうして改めて近況を伺うと、本当によかった、と胸の奥から喜びが湧いてくる。

大乗造像功徳経というお経がある。

仏像を造ることによって、来世にわたって大きな福徳がもたらされることが、繰り返し説かれている。

私たちは、このお経をおりに触れ、写経している。

仏像を造るということが、仏教の中でどのように受け止められてきたのか。そのことを、造像に携わる者として、心のどこかに常に置いておきたいと思うからである。

生きているかぎり、四苦八苦から逃れることはできないし、仏像を作ったからといって、病や老いや死から遠ざかれるわけでもない。

だけど、仏様に手を合わせる時間が生まれたことで、苦しいときの心持ちが少し変わったり、物事の受け止め方が柔らかくなったりすることは実際にある。

それは、私自身も常々感じることだ。

だからこそ、今回のお便りをいただいて、施主様が日々仏様に向かい、般若心経を唱えておられること、その傍らに三尊のお姿があることを思うと、なんとありがたいご縁をいただいたのだろうと思う。

仏様とのご縁から、ご家族へ、さらに次の世代へと、幸せな時間が紡がれている。そのことをお知らせいただけるのは、造像に携わる者として、やはり嬉しいことである。

いただいたお便りを、大切にしまっておこうと思う。

子々孫々のご健康とお幸せを、心よりお祈り申し上げます。