3人兄弟の元気な甥っ子たちの後ろを、早足に追いかける娘の背中。
皆、赤ちゃんの頃から知る子どもたちが、お線香を持ち、祖父母について霊園へ賑やかに歩く。
従兄弟たちとゲームをし、宿題をし、海ではしゃいで、川の字で眠る。
こんな夏が、私にもあった。
従兄弟たちと遊んで、夏の空気を思い切り吸い込んだ幼い頃。記憶の奥に仕舞い込んで、その匂いや手触りはすっかり薄れていた。
けれど娘を通して、昨日のことのように蘇ってくる。
砂の感触や潮の香り。夏のタオルケットの柔らかさ。子どもの汗の匂いと、夜中まで遊べる非日常。
親以外の大人とたくさん喋って、緊張したり、大笑いしたり。新しい言葉にも、たくさん出会った。懐かしい夏を追体験しながら、娘たちを見ている。
昨夜、古いアルバムを、父が孫たちの前で開いた。
「これが、じいじのお父さん。海軍だった」
「じいじの弟。妹」
「隣のおじさん。昔は帽子じゃなくて、手ぬぐいをかぶって畑仕事をしよった」
「この写真は、もうひいばあちゃんが病気の時やね」
白黒の古びた写真を一つ一つ指差しながら、私が何度も聴いてきた話を、今度は娘や甥っ子たちが聞いている。
「ひいばあばも、ひいじいじも、この板になって、ばあばもそのうちこの板になるんよ」
お盆の支度をする母が、位牌から過去帳を繰り出し、孫たちの背後から声をかける。
「ひいばあばも、ひいじいじも、ここに住んでたの?」
娘が、何かに気づいたように顔を上げた。
そう。
写真の中の人たちは皆、この家で暮らしていた。
ここで食べ、眠り、笑い、働き、子どもを育て、そして、この世から去っていった。
だけど、いなくなった人たちのことを、今もこうして大切に思い、話している。
写真を指差しながら。
過去帳をめくりながら。
お線香を手に、子どもたちと墓へ歩きながら。
家族のつながりを、温めながら。

