いざよさこい節が流れ始めると、どのチームもリズミカルに鳴子を鳴らし、軽快に群舞を繰り広げた。
「これは接戦になりそうだ」
そう思った私は、メンバーに二つだけ声を掛けた。
「笑顔で踊ろう!」
「『ヨイヤサノサノサノ』は、みんなで声を出そう!」
皆すぐに笑顔でうなずき、親指を立てて応えてくれた。
そして演技前には、鳴子を鳴らしながらチーム全員で掛け声を合わせる。
「Saya akan juara!」
「優勝するぞ!」という意味だと教えていただいた。掛け声を合わせるだけで、一体感が一気に高まった。
結果は、三人の審査員のうち二人が私たちの団扇を上げてくださり、見事優勝。首にメダルを掛けてもらうと、皆が満面の笑みで写真を撮り合った。
後で審査員のお一人が、こう話してくださった。
「みんな一生懸命でよかったんやけんど、声が出ちょったのと、笑顔がよかった!」
その言葉を聞いて、思わず心の中でガッツポーズをした。
別れの時。
インドネシアの参加者の皆さんが、車の窓からいつまでも手を振ってくださった。
「Yちゃん、ありがとう! またね!」
その声に、娘も大きく手を振り返しながら、駆け足で
「ありがとう! またね〜!」
と応えていた。
家に帰っても興奮は冷めなかったようで、娘はその日の出来事を夏休みの宿題の日記に書き始めた。
気がつけば12ページ。
どの場面も楽しく、どれも削ることができなかったのだろう。
言葉も、生まれ育った国も違うけれど、一緒に笑い、声を出し、同じ踊りを踊れば、心も一つになっていた。
灼熱の夏の日に交わした「Saya akan juara!」の掛け声が、今も耳の奥でこだましている。

