自分ではコントロールできないところで、物事が絶妙なタイミングで動くことがある。
今日、そんな出来事があった。
午前中から出かける予定があり、家の中をパタパタと小走りで動き回っていた。家事を済ませ、メールに返信し、資料に目を通し、午後の会合の概要を確認する。
まもなく出発——そんな時だった。
「カタン」
ポストに何かが投函される音がした。
郵便受けには大きめの封筒が一通。差出人を見た瞬間、ハッとした。
「AERA編集部」
四月に夫婦で取材していただいた記事が掲載された雑誌だった。
実は当初、「2026年7月20日号(7月13日発売)」に掲載予定と伺っていた。そのつもりでインターネットから五冊ほど予約し、のんびり発売日を待っていたのである。
ところが、何らかの変更があったのだろう。実際には一週間早い号に掲載され、その見本誌が、この日の朝、工房へ届いたのだった。
しかも、この日は、初めてお会いする方とご紹介者さまとの約束が入っていた。どのような流れでお話しするかあれこれシミュレーションしつつも、ご紹介者さまにお任せしよう、いや私もお伺いしたいことをもっと整理しておこう等、思いを巡らせていた。
そんな矢先、予定より一週間早く掲載誌が2冊届いた。
「これは、お渡ししなさいということなのだろう。」
丁寧に付けてくださった「AERA」の付箋をゆっくり剥がしながら、一人で頷いた。
会合は和やかに運び、私たちのこともお話しする中で、このAERAは自己紹介資料として一役買ってくれた。
もし封筒の到着が三十分遅かったら。
もし当初の予定通り、一週間後の発売だったなら。
このプライベートな内容の記事をご覧いただく機会は、おそらくなかっただろう。
高校の後輩が記事を読んで、「縁ってあるんですね」と連絡をくれた。私も、つくづくそう思う。
人の思惑とは別のところで、物事が動いていくことがある。
ほんの少しタイミングが違っていたなら、出会わなかった言葉や景色がある。そんな経験は、きっと誰にもあるのではないだろうか。
仏像の仕事をしていると、「ご縁ですね」という言葉を、本当によく耳にする。もちろん、何でも運命づけて考えるつもりはないけれど、人生にはある。自分ではどうにもできない巡り合わせ、不可解な出来事で人生が大きく動くことが。
今朝ポストに届いた一冊の雑誌も、そんな巡り合わせの一つだった。
「今、この時だからこそ」としか思えない出来事が、時おり訪れる。
目の前にやってきた巡り合わせを、ひとつ一つ大切に受け取っていけたら。そして、プレゼントを開けるときのような気持ちで、その先の景色へと目を凝らしていこうと思う。
AERAの掲載記事は、こちらで無料でご覧いただけます。よろしければぜひ。


