現代造佛所私記 No.484「六年前の数日」

一眼レフカメラが、壊れた。2020年の年末のことである。

仕事でもすぐ使いたいのに、保証期間も絶妙なところで過ぎていた。故障したカメラの描写に満足していなかったこともあり、買い替えを考えた。

しかし、仏像を撮影するのにどんなカメラが良いかわからない。困っていたところに、SNSで交流させていただいているM様から、ダイレクトメッセージが届いた。

写真家のSさんをご紹介くださるという。当時、ある国立博物館で写真技師をされていて、もちろん私たちも存じ上げている方だった。思いがけないお話に飛び上がって喜んだ。

自分でも、ある程度リサーチはしていた。文化財用のカメラというものがあることも知っていたし、いくつか候補も絞っていた。けれど、どれも判断しかねていた。

日常使いのカメラであれば、量販店で気軽に決められる。けれど、なんせお相手は仏像だ。店員さんに相談したところで、きっと困らせてしまうだろう。ネットで調べても、これなら仏像にぴったり、というような言葉は、どこにも見当たらなかった。

そうして、「このまま年を越してしまうのか」と悶々と過ごしていた。

Sさんは、こちらの予算と工房の現状を考慮した上で、判断材料を一つずつ示してくださった。等身大の仏像クラスであればこのあたり、アダプタを購入すればバリエーションが広がること、重さはあるけれど文化財の記録に向いているのはこちら、パソコンとの相性については———。

そんな中で、予算内に入ってくる機種。記録として撮るならこれで大きく外さない、という機種。

ほとんど素人の私にも、本当に丁寧に、けれど工房の専門性もちゃんと踏まえた上で、教えてくださった。

二回ほど、メッセージを打ち返し合っただけだった。それだけで、あれほど絞れなかったものが、一気に絞れていった。

三日ほどで、購入を決めることができた。

清々しい気持ちで、その年の正月を迎えることができた。あの数日のことを、今も忘れられない。