世界中がコロナウイルスに席巻された2020年夏、小さなお像をあるお宅にお納めした。
壁にかけられるようにと「懸仏(かけぼとけ)」としてお作りしたお像だった。
若くして亡くなられたお嬢様のお弔いとして発願された薬師如来で、製作前にお部屋を拝見した際、着物姿の美しいお嬢様のお写真を見せてくださった。自然な表情でご家族と並ぶその艶やかなお姿が目に焼き付いている。
その人が、もうこの世にいないと信じられなかった。施主様はにこやかにお話しされていたが、どれだけの悲しみと喪失を乗り越えていらしたか、ずっと想像できないでいる。
用材は、高知県大豊町産のカヤの木とお伝えすると、偶然にも施主様ゆかりの町だと喜んでくださった。
知り合ってから、ニュースなどで私たちのことを見かけると、お電話や絵手紙を送ってくださって、今でも時々お話しする関係が続いている。
今日もそんな電話の日だった。
しばらく互いの近況報告や家族の話などをしあった。おめでたいお話し、お仕事の話、ご家族の様子、そして、ご自身のこと。お元気な声が何よりも嬉しい。
最後に訊ねた。
「お仏像はいかがですか?」
「はい!私と同じ感じです。うちの仏像も元気です」
——うちの仏像も元気です。
なんだかいいなぁ。心の中で施主様の明るいお声がこだまのように響いている。
施主様と毎日を共にしているお像。お二人の関係が窺える一言だった。

