少し早めに下校した娘と、初の薯蕷饅頭づくり。
「私もやりたい!」
大和芋をおろしていると、娘が手を伸ばした。多分、手が痒くなるから、これはお母ちゃんがするね。代わりに、すりこぎでお砂糖と混ぜてもらえるかな?
「わかった!」
小さなすりこぎで、おろした大和芋、砂糖を少しずつ混ぜていく。上白糖ではなく、てんさい糖を使ったので、真っ白な大和芋が、黄味を帯びていった。
こっちのボウルに、お粉を50g入れてくれる?それだけ娘に言うと、あとは任せる。娘はうなづいてキッチンスケールに目を落とした。
「えーと、一目盛が……えーと、ふんふん」
算数で学んだ目盛の読み方が活きている。正確に上用粉をはかり、私に向き直った。
ありがとう、じゃあね、お粉と混ぜていくよ。
芋の空気が抜けないように、粉と混ぜていく。文字情報だけなので加減がよくわからない。
そうしているうちに、娘は低カフェインの抹茶と水を混ぜて、食紅を作ってくれた。
なんとなく生地がまとまったので、15gずつに分けて餡を包み込む。
蒸篭にシートを敷き、蓋につゆよけのサラシをまいて、蒸すこと9分。
「できたよー!」
宿題をしている居間の娘に声をかけると、とんできた。
「あつあつだね!んー!!おいしい!!」
一つ頬張って、娘が目を見開いた。
「もう一個いい?」
頬を膨らませたまま催促する娘に、あとは夕飯の後ねと言いながら、織部の皿に盛る。
早めの夕飯を家族そろって食べ、いよいよその時がきた。
「10周年おめでとう」
ケーキではなく、手作りの薯蕷饅頭で祝う工房10周年。
こねすぎて、すこし生地が緩くなったのも、生地が黄味がかっているのもご愛嬌。
「たこ焼きみたいだね」
と夫が言った。
不揃いな丸が、皿の上にいくつも並んでいる。まるで私たちのようだ。
これからの10年も、不恰好であっても味の良い薯蕷饅頭のようでありたい。
沈みながら進んでいるような10年。至らぬところばかりの私たちがここまでこれたのは、本当に、皆様のお支えなしにはありえないことでした。 心より感謝申し上げます。そして、これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。 吉田安成・沙織


