現代造佛所私記 No.474「たこ焼きみたいな饅頭」

少し早めに下校した娘と、初の薯蕷饅頭づくり。

「私もやりたい!」

大和芋をおろしていると、娘が手を伸ばした。多分、手が痒くなるから、これはお母ちゃんがするね。代わりに、すりこぎでお砂糖と混ぜてもらえるかな?

「わかった!」

小さなすりこぎで、おろした大和芋、砂糖を少しずつ混ぜていく。上白糖ではなく、てんさい糖を使ったので、真っ白な大和芋が、黄味を帯びていった。

こっちのボウルに、お粉を50g入れてくれる?それだけ娘に言うと、あとは任せる。娘はうなづいてキッチンスケールに目を落とした。

「えーと、一目盛が……えーと、ふんふん」

算数で学んだ目盛の読み方が活きている。正確に上用粉をはかり、私に向き直った。

ありがとう、じゃあね、お粉と混ぜていくよ。

芋の空気が抜けないように、粉と混ぜていく。文字情報だけなので加減がよくわからない。

そうしているうちに、娘は低カフェインの抹茶と水を混ぜて、食紅を作ってくれた。

なんとなく生地がまとまったので、15gずつに分けて餡を包み込む。

蒸篭にシートを敷き、蓋につゆよけのサラシをまいて、蒸すこと9分。

「できたよー!」

宿題をしている居間の娘に声をかけると、とんできた。

「あつあつだね!んー!!おいしい!!」

一つ頬張って、娘が目を見開いた。

「もう一個いい?」

頬を膨らませたまま催促する娘に、あとは夕飯の後ねと言いながら、織部の皿に盛る。

早めの夕飯を家族そろって食べ、いよいよその時がきた。

「10周年おめでとう」

ケーキではなく、手作りの薯蕷饅頭で祝う工房10周年。

こねすぎて、すこし生地が緩くなったのも、生地が黄味がかっているのもご愛嬌。

「たこ焼きみたいだね」

と夫が言った。

不揃いな丸が、皿の上にいくつも並んでいる。まるで私たちのようだ。

これからの10年も、不恰好であっても味の良い薯蕷饅頭のようでありたい。

沈みながら進んでいるような10年。至らぬところばかりの私たちがここまでこれたのは、本当に、皆様のお支えなしにはありえないことでした。

心より感謝申し上げます。そして、これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

吉田安成・沙織