現代造佛所私記 No.461「一蓮托生 (3)」

虫愛づる工房。

吉田仏師が保護したかの幼虫は、まだ蛹にならず虫籠の中で生きている。

蛹になるかも、と腐葉土は変えないでいたのだが、どうもまだその様子がないので、虫籠の中の土を入れ替えた。

古い土を見るだに、しっかり食べて排泄し、よく眠っているらしい。

新しい昆虫専用の土の中に入れてやると、すぐさま土を抱えて食事を始めた。あぁ、お腹が空いていたのか、悪かったね。それにしてもよく食べるね。この土が口にあってよかったよ。

つい声をかけてしまう。

「どうも、これはカブトムシだね。お尻に特徴がある。それに、オスっぽいよ」

夫がいう。彼は、インターネットでいつの間にか調べているらしく、クワガタとの見分け方、雌雄の見分け方、蛹にうまくなれない時の対処法など、詳しくなっていた。

幼虫は、むしゃむしゃ土を頬張りながら、同時に土の中へ深く潜ろうと脚を動かしている。スピードが上がらないので、夫がさっと補助した。

新しい寝床と食事を得て、彼はまた元気に過ごしている。

白地に灰色のお尻で、丸まって眠る様子がまるで我が家の猫の皓月にも見えて、種は異なるのに姉弟のように思ったりする。

命がやってきては旅立っていく、そのサイクルの中に、私たちもいて、そう思うと深い孤独がじわじわと温まるような気がする。