よしだ造佛所の伝統文化PR部門「承欣 SHOW-GON」をご利用いただいた、陶と植物の造形作家・内田牧子さんの個展が無事お開きとなった。
私は、最終日にお伺いした。
HOTEL MONONOBAのコンクリートの白く硬い肌に、有機的な素材と形状の器、植物から生まれった香りと染め物が響きあっていた。
平日というのに来場者も絶えず、食のスペースも人の出入りが活発だった。まきさんの初個展を祝う人も多く、まきさんもスタッフの皆様も、席が暖まるに暇あらずといったご様子だった。
次々と、器たちが会場から旅立っていく。大切そうに抱えられていく作品たちに、「幸せにね」と声をかけたくなる。
私は、最後の最後まで、2つの香りの前で購入を迷っていた。文旦が入ったブレンドオイルと、温州みかんのブレンドオイルだ。
最初は、温州みかんの方にしようと思っていたのだが、最終的に文旦を選んだ。どちらの香りも素晴らしく、きっといつも味方になってくれると思えた。
だけど、その香りの原料となった文旦を作られた大北果樹園様のお話を聞いて、気持ちが定まった。
「これね、作業の合間に休む時の土の匂いとか、果物の匂いとか、そう言うものが本当に全部入っているんですよ。すごいですよね」
まきさんにそんなお話しされているのを、私も横で聞いていた。すると、彼の果樹園での憩いのひとときの景色が、香りとともに眼前に広がった。展示会場にいながら、果樹園にワープしたような感覚になった。
うわーすごい、楽しいな、香りで誰かの体験、記憶に触れているみたい。これをしたためながら思い出す。そうだ、この個展の副題は「土と植物の記憶」だった。
まきさんは図録のご挨拶にこう書かれている。
土に触れ、
植物に触れ、
香りを抽出しながら、私は
「記憶のようなもの」を形にしています。
帰宅し、その香りを手首にチョンとつけてみる。
創造のうねり、大地や木々の営み、デジタルなものに触れ過ぎて少し希薄になっていた、自然と人の生々しさ、野趣のようなもの。
そういうものが不意に目の前に現れて、私を包んで、「本当はこちらでしょ」と笑っているようだった。
「祈りの器と植物の器展 —土と植物の記憶—」@HOTEL MONONOBA ご盛会おめでとうございます。お伺いした当日の様子を、22秒のリールにおまとめしたので、よろしければどうぞ。
【メディア情報】
- 2026年5月20日 読売新聞掲載「土佐のひと 造形作家 内田牧子さん58」
- 近日ケーブルテレビ、ラジオ出演予定


