「とりあえずここまで」
細切れ時間のなかで、まち針を打っては手を止め、5分だけ運針をして止める。
これまで、夜なべしてでも一気にしていた半襟づけを、今日はできる時間の中で出来るだけ、に変えてみた。夏の長襦袢の手触りがサラッと心地よい。
土佐の五月の茶席といえば、もう夏のよう。着物のセオリーとしては袷(あわせ)だけど、もう単衣でもいいですよ、と師匠から通達があった。
それで、手持ちの単衣を出してみたが、真夏すぎる柄、晩夏に合う柄を見て、五月に着るには憚られた。裏千家茶道を習っている母に相談したら、やはり「そうやねぇ…これはちょっと着れないね。単衣は難しいねぇ。なんか良い反物があれば縫ってもいいけど」と言った。
母の気持ちは嬉しいが、とても週末の茶席には間に合うまい。今回は、夏用の長襦袢に、袷を着ることにした。
日中は27度まで気温が上昇する今日この頃、風炉の真ん前、大勢の人の見守る中での点前はきっと汗だくになるに違いない。
この半襟も、汗でびっしょり濡れるだろう。だけど、点前の最中は夢中で、暑い寒いもなかろうと思う。
終わったら、この半襟をまたしっかり洗濯して漂白しよう。
張りのある日差しの下、ヒラヒラと揺れる半襟を思い浮かべながら、縫い付けを終えた。


