現代造佛所私記 No.425「不動の塩むすび」

いつもより早めに起きて、台所に立つ。

娘はまだ夢の中。

前夜から出しておいた、「お弁当加工セット」のジッパーを下ろす。六年目の袋。中身を更新しながら、この袋だけは使い続けている。おにぎりラップのキャラクターが変わるくらいだ。

不動の塩むすび。キャラクター柄のラップで包み、握る。

唐揚げは二度揚げ。一度目の油から引き上げて、しばらく置く。二度目の油に入れると、最初より細かな泡と共にじゅわわと音が立つ。

ポテトサラダ。茹で卵とマヨネーズを合わせて潰したものに、ハート型にくり抜いて茹でたにんじんを乗せる。このハート型、何度使っただろう。抜いた人参の「ガワ」の方は、味噌汁の具になる。

ミートボールは三粒。指先で数える。

小さな卵焼きは、塩と砂糖少々。ハート型に形作るのも、今や手本いらず。

メインのおかずを詰めたら、細めにカットしたブロッコリー、枝豆四粒を刺したスティック、三色のミニトマトをカットしてつなげたスティックをあしらう。

デザートには、シードレスブドウ二種を容器に入るだけ。

途中、夫が娘の朝ごはんをさっと用意して、さっと居間に持っていった。音もなく、手が重ならない。戸を隔てた向こう側で、食を促す声と応じる眠そうな声ががぼんやりと聞こえる。

水色の地に、和柄の花があしらわれた二段の弁当箱。娘が選んだものだ。

キュッと蓋をして、藍染のハンカチで包む。保冷剤を挟んで、箸とお手拭きと共に、保冷バッグへ。

「やったー!」

いつの間にか支度を整えた娘が、歓声を上げキャップを被りながらいった。 雨上がりのアスファルトの上を、リュックを揺らして小走りに行く。

遠足のあさ、シンクには、型抜き、小皿、調味料、細々としたものが散らばっている。