現代造佛所私記 No.422「一蓮托生」

まだ桜が咲いている時期だっただろうか。

吉田仏師が、手に白い大きな幼虫をのせて帰ってきた。作業場からの帰路、地面の上で拾ったという。

「とにかく、そのままじゃ、乾燥するよね」

プランターや植木鉢をざっと見回し、花が終わった植木鉢を見つけた。取り急ぎ、その土の中に保護した。土が合うかわからなかったけど、体が乾かないように、応急処置として。

気に入ったのか、無事なのかわからないまま、幼虫は土の中から姿をみせなくなった。

今朝、ふと植木鉢に視線を引っ張られたかと思うと、ひと回り大きくなった幼虫が、もぞもぞと植木鉢の縁にそって、移動している真っ最中だった。

よかった!元気だったの、と思わず声をかけた。

一周ぐるりと移動したかと思うと、また土に潜ってしまったが、どうも土が耕されているように表面がふかふかしている。

居心地が悪いのだろうか?調べてみると、蛹化のサインかもしれない、ということがわかった。

縁のあった幼虫だ。腐葉土を足してやろうと、ホームセンターで買い求めた。帰ると、いの一番に植木鉢に土を足し、無言の植木鉢を眺める。

軒の下にはいったら、放っておけないよねぇ。心の中で呟く。

今更だけど、なんの幼虫かわからないまま、軒下を貸している。

成虫になれるといいな、こぼれた土をかたづけながら植木鉢を見下ろした。