現代造佛所私記 No.418「お茶の準備」

ごく個人的な茶席を設けることになった。

いつもストックしていた抹茶が、国際的な抹茶ブームで注文できなくなって久しい。スーパーの棚には、抹茶の缶が一列、1、2つだけ並んでいた。手に取り、裏の説明を読み、戻した。

高知市内の茶舗なら在庫があるかもしれないが、いつもの銘柄とは限らない。パソコンの前に座り、師匠の稽古で使う抹茶を検索した。しっかりとした苦味と甘味のバランス。これを飲み慣れた弟子たちは、他の優しい味では物足りなくなる。

注文ボタンを押した。届くまで数日かかる。間に合ってね、と液晶の向こうに手を合わせた。

棚から茶碗を出してみる。どれも、ご縁があって我が家に来たものばかり。陶芸家の友人から贈られた織部、文化財の先生から頂いた仁清の写し。母から譲り受けた瀬戸。

茶筅は、師匠から何個かお下がりをいただいて、茶杓は吉田仏師が檜の端材で作ったもの。竹のように節を模して形作られている。掌に載せてみる。

茶筅を取り出し、穂先を確認する。十分な揃い具合。

師匠に相談し、菓仙山本に電話をかけることになった。高知の茶人なら誰もが知る和菓子屋だ。季節の主菓子を、何日に何個、と伝える。

「前日でも大丈夫ですよ」

電話口の女性は、茶席との兼ね合いはをよくご存知だ。

手帳に受け取り日を書き込んだ。​​​​​​​​​​​​​​​​