現代造佛所私記No.108「円環」

先週は、コラム執筆100日目を迎えた記念すべき日からスタートした。

コラムを書き始めた頃、「520字で、さくっと読めるものを」と決めていたのに、1000字を超えることが当たり前になっている。書き始めると、どんどん膨らんで想定の2倍、3倍になってしまうのだ。

読む人も大変だろうと思い、試しに「文化財と物語」は3つに分けてみた。だが、その後はなんとなく分けられずにまた1000字以上の塊のまま公開している。今は、自然に任せようと思う。

今週は、文化財の学会に向けた準備から、現地での発表、そして帰ってからのレポート執筆まで、まさに「学会漬け」の日々だった。

その一方で、出張先でPRのお客様方と連絡を取り合い、PRプロデューサーとして伴走させていただいていた。

車での移動は、長いときで9時間にも及んだ。ネットにさえつながれば場所を問わず仕事ができる。急ぎの案件も入り、助手席でPCを開いて普段と変わらぬスタイルで仕事をさせてもらった。

学会会場では、奈良時代に遡る文化財の研究発表を聞きながら、これから生まれる舞台や物語に思いを馳せ、あらためて「過去」と「未来」の文化の交差点に自分が立っていることを噛み締めた。

「この場所にいるからこそ、語れることがあるのかもしれない。」改めてそんな思いが芽生える。

「過去」と「未来」が静かに描く円環を、同時代に生きる友人たちと肩を並べて眺めているような、どこか心楽しい1週間だった。

一番読まれていたのは、現代造佛所私記No.106「文化財とPR」