うぶすなにて雅楽演奏

龍笛を始めた時から、いつか故郷の神社で演奏できたら、と思っていた夢が叶いました。広報PR担当、吉田沙織です。

9/26、宮司就任奉告祭および三所台(参召代とも)の儀で、徳島の先輩伶人にご助力いただき、よしだ造佛所の奏楽部門「雲中奏楽団」、無事奉納してまいりました。

新宮司様の就任を言祝ぐとともに、甲浦の氏子の皆様の弥栄を心より祈念申し上げます!

吉田仏師は楽箏、私は龍笛で出仕。当初は、宮司様から「地元の人で背伸びせずにできる範囲で」とお話いただいており、楽箏と龍笛だけで奏上する予定でした。

それが、徳島の伶人井内徳弘様ご夫妻、梅田恵様が遠方から駆けつけてくださり、臨機応変に複数の楽器を使いこなし、迫力ある奏楽へと導いてくださいました。地元高校生のお稽古仲間のKさんも立派に主管をつとめられて本当に素敵でした。

いらした方から口々に、
「これは値打ちあるわ」「やっぱり生はえいね!」「こんな演奏聞けるなんて」等お声掛けいただき本当に嬉しかったです。

「僕も歌ってみたい」「演奏してみたい」というお声もいただいて、地元での体験会など考えたいなと思ったことでした。

そして、驚いたことに、先々代宮司様の時代のものでしょうか?昭和16年に新調されたという鳳笙、篳篥、龍笛がひょっこり出てきたそうです。

拝見すると、箱書きに地域の主要神社の社名が。メンテナンスは必要な状態ですが、龍笛はちゃんと吹けたため、本番で使わせていただけることに。最高のご褒美をいただきました。

このタイミングで楽器が発見されるなんて、不思議な巡り合わせを感じます。

後日、先代宮司の同級生の方からお手紙をいただきました。

「雅楽奏上をありがとうございました。先代の宮司・M君も、宮司就任当初から神事のときには雅楽演奏を添えるのが願いだったので、今回彼の本望が叶ったものと、私も感慨深いものがありました」

M宮司は、私も両親も子どもたちも氏子として節目でお世話になってきた方です。今回発見された戦前の雅楽器たちは、M宮司の荷物の中にあったそうです。

きっと、笙、篳篥、龍笛の三管を守りながら、「いつか東洋町で雅楽を…」と願っておられたのではないでしょうか。

直接お話することはもう叶いませんが、雅楽奉納で少し恩返しができたような気がします。

手紙の差出人さんが、戦前の楽器が出てきたことを受けて、当時のいろんなエピソードや先々代のお話も聞かせてくださいました。

甲浦の氏子の皆様とも、これから地元の伶人を育てていけたらいいね、と話し合ったことでした。是非是非、大切に奏でていきましょう。

この度も、香風舎雅楽乃会主宰の中村香奈子先生からは、お稽古およびプログラムについて多くのご助言を賜りました。いつも本当にありがとうございます。

甲浦八幡宮からこれからも豊かな音色が響きますように。宮司様はじめ、総代様、氏子の皆様に、見守ってくださった皆様に心から感謝申し上げます。

よしだ造佛所では、今年6月から祭典での雅楽演奏のご依頼をお受けしております。

仏像工房の奏楽部門ということで、雲中供養菩薩にあやかり、また工房が山の上にあることから、「雲中奏楽団」という名で動いておりました。

高知県香南市や東洋町で楽しくお稽古しております。

諸先輩方に助けていただきながらのよちよち歩きですが、芝祐靖先生の雅楽五則を胸に、楽しく取り組んでおります。

雅楽普及につとめておられる各地の先輩方とともに、豊かな音色を奏でてまいります。

どうぞよろしくお願いいたします。