現代造佛所私記 No.423「青柳」
山の展望台から、かすみがかった太平洋が見える。遠い岬は、ぼんやりと霞んでいた。 今日はお客さまを迎えて、この展望台で野点風のお茶の席を用意している。 風呂敷を解き、竹カゴを開けると、朝ふるっておいた抹茶と、お茶の道具、そ...

山の展望台から、かすみがかった太平洋が見える。遠い岬は、ぼんやりと霞んでいた。 今日はお客さまを迎えて、この展望台で野点風のお茶の席を用意している。 風呂敷を解き、竹カゴを開けると、朝ふるっておいた抹茶と、お茶の道具、そ...
ごく個人的な茶席を設けることになった。 いつもストックしていた抹茶が、国際的な抹茶ブームで注文できなくなって久しい。スーパーの棚には、抹茶の缶が一列、1、2つだけ並んでいた。手に取り、裏の説明を読み、戻した。 高知市内の...
薄曇りの朝。 行きがけはポツポツ雨がフロントガラスを叩いたが、目的地のお寺に着いたときにちょうど止んでくれた。着物の日は、雨がない方がありがたい。 今日は、例年より少し遅めの利休忌。茶人にとって、年に一度、利休居士の遺徳...
さっ、さっ。 白足袋が畳の上を滑る。その小さな音が、薄暗い茶室の空気を微かにふるわす。 引き出しのついた棚の前に座る。「三木町棚」という、素朴でどこか可愛らしくもある、趣ある棚である。蓋置と柄杓は、姉弟子が「入り飾り」と...