現代造佛所私記No.81「インターン(8)」
今朝からたっぷり雨が降った。雨に洗われて、庭の緑はぐっと深みを増している。吉田仏師が不在の昼どき、今日はドイツからのインターン生・Mariekeと二人だけの昼餉である。 中央にどんと置いたバゲットの山。銘々の小皿にオリー...
今朝からたっぷり雨が降った。雨に洗われて、庭の緑はぐっと深みを増している。吉田仏師が不在の昼どき、今日はドイツからのインターン生・Mariekeと二人だけの昼餉である。 中央にどんと置いたバゲットの山。銘々の小皿にオリー...
昨日は、私のお茶の稽古と、吉田の弓道の鍛錬の日だった。師匠や兄姉弟子からも受け入れてもらって、Mariekeを伴って稽古に向かった。 「Beautiful」「I’m fascinated」とつぶやくMarie...
朝の斎庭に、眩しい陽光が差し込んでいる。楽器や譜面を手に境内に入ると、すぐに汗ばむほど日差しを受けた。 澄み渡った空に、悠々と伸びる杉を見上げながら、「晴れてよかったねぇ」と声を掛け合う神官と伶人たち。 今日は、若一王子...
「今だ」 お鍋に湯を沸かしている時間。パソコンが重いファイルを開くまでの数秒。夫が食事に戻ってくるまでの数分。あるいは買い物に行く車中で。 そんな「待ち時間」が、いまの私の龍笛の稽古時間だ。 令和7年4月26日、高知のと...
「あぁ、どうしよう」 茶道の稽古を終えた帰り道、くねった山道を上りながら、私は何度もつぶやいていた。 行きはよいよい。 山桜に花桃、春の匂いに誘われるように、抹茶と和菓子、師匠との会話を楽しみに車を走らせていた。けれど帰...