現代造佛所私記No.125「半分の台座 (10)」
人里離れた山の麓にたたずむ、仏像工房。ある日届いた真新しい修理報告書。その中の「台座の画像」が、なぜか半分しか写っていなかった。関係者たちは、ミスが起きた30分間をめぐって、慎重に記憶をたどりはじめる。浮かび上がる、わず...
人里離れた山の麓にたたずむ、仏像工房。ある日届いた真新しい修理報告書。その中の「台座の画像」が、なぜか半分しか写っていなかった。関係者たちは、ミスが起きた30分間をめぐって、慎重に記憶をたどりはじめる。浮かび上がる、わず...
人里離れた山の麓に、静かにたたずむ仏像工房。手作業の温もりと、デジタル文化が共存するその場所に、ある日ひとつの“綻び”が見つかった──真新しい修理報告書の中に、半分だけ消えた台座の画像。 誰が、いつ、どこで、それを見逃し...
【前回までのあらすじ】人里離れた山の麓の仏像工房。真新しい修理報告書に見つかった、ひとつのミス。あの日の、それぞれの行動をたどりはじめる。謝罪し、挽回しようとする事務補助の松田さん。対話を進める事務長。「──午後四時半か...
【前回までのあらすじ】 仏像工房で春休みのアルバイトを始めた大学生・高木。どこか懐かしい空気が流れる工房での日々に、少しずつなじみ始めていた。 そんなある日、ようやく完成した修理報告書に画像ミスが発覚──慌てる高木たちの...
【前回までのあらすじ】春休みに仏像工房「造佛所」で働きはじめた大学生・高木。ある日、完成した仏像修理報告書に画像ミスが見つかり、工房にちょっとした動揺が広がる。お茶を淹れながら、事務長がつぶやいたのは──「チーズの穴です...
【前回までのあらすじ】地方の文化に関心をもつ大学生・高木は、春休みに仏像制作・修復を行う「造佛所」で働き始める。人里離れた山の麓にある工房には、物静かな仏師、柔らかな語り口の事務長、気さくな事務補助の女性、そして2匹の猫...
事務長は、パタリと報告書を閉じて、ゆっくり深呼吸をしながら松田さんの方へ振り返った。 「お孫さん、ますます可愛くなっていらっしゃるでしょう」と微笑みながら、事務長は休憩スペースの椅子によっこらしょと掛けた。 「え?ええ、...
松田さんは、県庁を定年退職した後に、事務補助として工房で働いている。文化財関連部署にいたこともあるそうだ。 「パソコン操作だけは県庁で鍛えられた」と自負していて、入力作業が得意だ。でも、最近は目の疲れがひどいらしく、...
このお話はフィクションです。私の経験をモデルに描いていますが、登場人物や出来事は創作です。「どこかの工房の物語」。どうぞお楽しみください。 僕の主な仕事は、修復した仏像の写真から図面を起こすこと。 オンラインで完結する...
このお話はフィクションです。私の経験をモデルに描いていますが、登場人物や出来事は創作です。「どこかの工房の物語」。どうぞお楽しみください。 「ちょっと変わったバイトがある」 大学三年生になる春休み、ゼミの先生からその概...