不動三尊、定福寺(高知県大豊町)へ

火災や戦争などをくぐり抜けながら、静岡・東京・神奈川と旅されてきた不動三尊。弊所での御修理を終えたのち旭観音堂でのご開帳を経て、無事に定福寺(高知県大豊町)に遷座されました。

不動三尊修理完了のご報告とご開帳については、以下の過去記事をご覧ください
不動三尊修理完了のご報告とご開帳のお知らせ
不動三尊(高知県 定福寺蔵)の出開帳に行ってきました

GWに催された旭観音堂(高知市玉水町)での出開帳は、会期中に高知新聞に取り上げられたこともあって、大勢の方々にご参拝いただいたそうです。普段お世話になっている方々が続々と来場されていたと後で知り、直接お目にかかれずともお不動様を介してご縁がまた深くなったように感じております。誠にありがとうございました。

出開帳最終日、私たちは再度お伺いしてお不動様と二童子像をお包みしました。翌日にはお寺様に無事お届けしましたのでご報告します。

お像を梱包するときは、ハレの日のお支度をしているような気持ちです(旭観音堂にて/定福寺様撮影)

5年間過ごした工房からついにお寺へ

定福寺のある大豊町は四国中央部に位置し、中世以前の面影を残す地域。当時の文化が今も息づく

釣井住職はじめご寺族様、檀家様にご協力いただいて、作業は滞りなく進みました。釣井住職は午後に法要を控えておられたにも関わらず、早朝から汗をかいてくださいました。一番走っておられたのではないでしょうか?敬服の念に堪えません。

また、長老・龍宏師が法要から戻られたその足で現場にお越しになり、ご真言を唱えてお祈りしてくださいました。静かな祈りの声に包まれての作業は、今思い出しても神聖な儀礼のように思われます。私たちにとって忘れられない尊い時間となりました。皆様、お世話になり本当にありがとうございました。

不動三尊は、最終的な御安置場所の講堂が完成するまで持仏堂(大師堂)にてお祀りされます。出開帳の時は設置できなかった光背もしっかりと中尊を荘厳していますので、ぜひお参りください。

仮安置された持仏堂(大師堂)は国登録有形文化財で、お座敷から四季折々の花がご覧いただけます

最終的な御安置場所 − 定福寺講堂について

不動三尊が最終的にご安置される建物は、現在の定福寺檀信徒会館のある場所に建設予定です。

こちらの会館は、長らく多くの参拝者や檀信徒、縁者に親しまれてきました。弊所スタッフが高校生の時は、部活動の合宿所、ユースホステルとして賑わっていたそうです。私たちが数年前に土砂加持法要にご招待いただいた際、お接待いただいた思い出の場所でもありました。

しかし、何しろ50年以上前の建築です。
水洗化されていないお手洗い、十分でない耐震性や耐火性、車椅子やベビーカーが入れない構造、さらには全体の老朽化により常に修繕が必要な状態ということで、以前より再建を検討されていました。

費用面で苦慮されておいででしたが、御住職の志は揺らぐことなく計画が始動したとのこと。令和5(2023)年に定福寺様が創建1300 年を迎えられるのみならず、同年は弘法大師誕生1250年という吉事に加え、不動三尊寄進のご縁が大きな後押しになったのだそうです。

何より、御住職の不動のご意志こそ、お不動様の御教えを実践されていることの顕れと存じます。過去、現在それから遠い未来に向けて、この度の講堂建設は大変な意義あるものと弊所も賛同しております。

今ご縁あってこのブログを読まれているあなた様にもし何か感じるものがおありでしたら、ぜひ講堂再建の勧進帳をご覧ください。そして、いつか完成した講堂の2階、お不動様の御前にて集いましょう!

粟生聖天 定福寺
〒789-0167 高知県大豊町粟生158
TEL(0887)74-0305 FAX(0887)74-0302